古民家をリフォームをして暮らしたいという人が増えています。古民家ならではの風情を感じながら、広々とした空間で生活できることが魅力的ですよね。
古民家のリフォームをするなら、まずは特徴的な間取りを活かすことを検討してみましょう。現代風の利便性の高い住空間を作り出すことができるからです。
また、経年劣化が心配な古民家のリフォームは、間取り以外にも注意するべき箇所があります。安心して長く暮らせるようなリフォームも取り入れるとよいでしょう。
古民家をリフォームする前に特徴的な間取りを知っておこう
古民家のリフォームは、もともとある間取りを活かすと、利便的にもコスト的にもメリットがあります。古民家の特徴的な間取りとはどんなものなのでしょうか。
基本は「田」の字型の間取り
古くからの日本家屋は、6畳から8畳くらいの和室が「田」の字型に並んでいます。それぞれの部屋は、襖や障子で仕切られています。
ひとつの部屋が寝室にも居間にもなり、状況にあわせていろいろな使われ方ができるのが特徴です。
また、畳はイグサを織って作られますが、夏は涼しく冬は暖かい素材です。
丈夫なため長期間にわたって使用できます。
縁側や軒がある
建物の外周にそって板張りの縁側があります。
畳の部屋を通ることなくトイレや台所へいく通路として、また、すぐに外の景色を楽しめる工夫としての役割があります。
さらに、外気とワンクッションおくことで、室内の温度を快適に保つ機能も備えています。
また、深い軒があるおかげで、直射日光を遮ったり、畳の日焼けを防止したりするのに役立ちます。
玄関から土間・おくどさんに続く
玄関や勝手口など外から直接出入りするスペースには、床材が張られていない土間があります。和室と比べて一段低くなっていることがほとんどです。
さらに奥にはおくどさんといって、現代でいうキッチンがあります。かまどや炊事用具が並んでいます。
古民家のリフォームは特徴的な間取りを活かすのもあり
古民家をリフォームするなら、上記のような特徴的な間取りを活かすことができます。
現代風に生活しやすいようにリフォームをするアイディアをみてみましょう。
襖で簡単に間取りの変更ができる
「田」の字型の古民家は、襖の開け閉めで簡単に間取りの変更ができます。
現代風にするなら、ロールスクリーンやアコーディアオンカーテンなどがあります。
また、オシャレなガラスの引き戸に変えてしまうこともできます。
間取りはそのままに、家族のライフステージにあわせて仕切り方を柔軟に変えていくとよいでしょう。
縁側は家族が集まる場に
昔の日本映画などでは縁側で家族が花火をみているシーンがありますよね。
縁側は家族や友人たちが集まる場でもあるのです。
広々としたウッドデッキをつくれば、週末に家族でバーベキューをしたり、お友達とティータイムを楽しんだりすることができますよ。
また、子ども達のちょっとした遊びスペースや、ガーデニングテラスとしても最適です。
土間はさまざまな用途に活用
土間は土足で歩けるスペースであることや、水や汚れに強いことがメリットです。最近ではさまざまな用途に注目されています。
ベビーカーや自転車を置くスペースといっただけでなく、雨の日の子どもの遊びスペースやスポーツが趣味の人なら用具を並べたり。
そのままダイニングキッチンにすれば、掃除のストレスも軽減します。
古民家のリフォームで水回りの間取りは変更したほうがいい?
ただし、水回りに関しては少し問題があります。
居住スペースから離れた場所にあるため、古民家のリフォームでは水回りの間取りは変更したほうがよいでしょう。
古民家は水回りの間取りがイマイチ
水回りといえば、キッチンやトイレ、お風呂です。
まだ下水道の設備が整っていない古民家のトイレは、縁側の突きあたりに庭に突き出たように設置されていることが多いようです。
また、お風呂場も脱衣所がなく、とってつけたような間取りになっています。
冬場は寒いだけでなく、周辺の柱などは湿気によって老朽化が進んでいるので、間取りの変更とともに設備のリフォームが必要です。
経年劣化による衛生面での心配
三井のリフォームによるアンケート調査によると、古民家のリフォームでまず手をつけたいところが水回りという結果がでています。
食品を扱うため衛生面での心配や、湿気によるカビや劣化が激しいなどが理由です。
【参考:三井のリフォーム「古民家・旧家のリフォームするなら何から?古民家リフォームのメリットとは?」】
水回りのリフォームはどんなことをする?
汲み取り式の和式トイレから洋式水洗トイレにリフォームする場合、丸ごと作り変えなければいけません。
また、タイル張りのお風呂は趣があってステキですが、冬場の寒さが厳しいため現代風の設備にリフォームするのがおすすめです。
キッチンは土間のスペースをそのまま活用して、水回り設備をそちらにまとめた間取りにすると、家事動線がよくなります。
また、「田」の字型のひとつを広いダイニングキッチンにするのも好まれています。
このように、水回りのリフォーム1つとっても方法は様々です。
無料で活用できるリフォーム一括見積もりサイトを利用し、自分に合った業者を見つけるのがおすすめです。
最安値の業者も簡単に見つけることができます。
古民家の床や壁をリフォームして耐震・断熱も忘れずに
また、古民家のリフォームは、間取りをどうするのかと同じくらい、構造上のデメリットもよく検討しなければいけません。
古民家の耐震性や断熱性について知っておきましょう。
古民家の耐震性は大丈夫?
伝統的な古民家は「免震」という工法で建てられています。
これは、地震の揺れを足元で揺らして逃すもので、足元をがっしり固めて地震に耐える「耐震」構造とはまるで違います。
古民家が耐震診断を受けると安全評価が0点ということもあるのです。
ですから免震で地震に強くても、耐震補強工事が推奨されています。
また、1950年の建築基準法から1981年の新耐震基準までに建てられている場合は、耐震性が低いので、やはり耐震補強が必要です。
冬の寒さが厳しいのはホント
古民家の冬の寒さも気になるところです。
経年による建物の歪みから、隙間風が入りやすく、また、単板の窓では室内の暖かい空気が逃げていきやすいことが理由です。
「気流止め」といって、外気が床から壁の中に侵入してこないようにする設備もないからです。
これは、断熱工事をおこなうことで解消されるでしょう。
天井や床、壁に断熱材を入れる断熱工事や窓ガラスを複層ガラスに変えるなどの工事です。
建物の基礎部分の劣化が激しいときは要注意
ただし、古民家の基礎部分の劣化があまりにも激しいときは、部分的なリフォームだけでは住めないこともあります。
梁や柱など、構造上重要な役割がある部分の劣化は、のちのちのトラブルになりかねません。
古民家のリフォームで間取りや水回りの変更をともなう場合には、費用がかかるもののスケルトンリフォームが安心です。
一度、基礎部分だけにして状態をこまかく確認することができます。
古民家のリフォームで活用したい補助金制度の種類とは?
古民家のリフォームでぜひ活用したい補助金制度をご紹介します。
国がおこなっているものとは別に、市町村で実施されているものもあります。
耐震補強にかんするリフォーム
まずは耐震診断をうけて、判定値が0.1未満であることが条件です。
また、昭和56年5月31日以前に建てられたもの、木造軸組工法で2階建て以下など、対象となる条件は自治体によって異なります。
いちど、古民家のある自治体のHPを確認してみましょう。
省エネリフォーム
省エネリフォームとは、断熱工事や複層ガラスへの変更などが含まれます。
国がおこなっているものに、「既存住宅における断熱リフォーム支援事業」や「こどもみらい住宅支援事業」などがあります。
補助対象経費の最大三分の一、1戸あたり上限120万円の補助金が支給されます。
バリアフリーリフォーム
古民家特有の段差を解消したいなら、バリアフリーリフォームの補助金も検討しましょう。
洋式トイレに変更する、手すりを取り付ける、畳からフローリングに張り替えるなどのリフォームが対象になります。こちらも自治体で実施している補助金制度がありますよ。
【参考:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームの支援制度」】
↓補助金詳細はこちら
まとめ
古民家のリフォームで、伝統的な間取りを活かしたステキな住空間を実現しましょう。
縁側や土間のスペースは、現代でも生活しやすい機能をもたせることができますよ。
また、古民家のリフォームで「田」の字型の間取りを残しておくと、短期長期的な使用用途に柔軟性をもって対応できます。
ただし、古民家の水回りや耐震性、断熱性に関しては、全面的なリフォームが必要になります。
経年劣化により基礎部分に不具合があることも少なくありません。
古民家のスケルトンリフォームをすると、より長く安心して暮らすことができるでしょう。