「子どものためにも過ごしやすい環境で育てたい」「家族で田舎に移住したい」という親御さんは多いです。
近年ではコロナ禍もあり、郊外や田舎に移住する家族が増えてきました。
こういった、子どもの教育のために移住することを『教育移住』と呼びます。
しかし、日本の田舎暮らしと教育移住を両立させるには、環境や進路選択肢の少なさなどまだまだ課題が多いようです。
今回は、移住して田舎暮らしと教育を両立させる教育移住について、田舎ならではのデメリットと移住先の選び方について解説します。
田舎暮らししたい家族には最適?進みつつある『教育移住』とは
田舎暮らしをしたい家族のために、まずは『教育移住』とはなんなのかを解説します。
教育移住とは「子どもの教育」を中心に住環境を変えること
『教育移住』とは「子供の教育」を中心にして住環境を変えることを指します。
ほとんどの場合、まだ保育園に入る前だったり、未就学児がいる家庭が、将来の教育プランに適した環境を探して移住することを教育移住と呼んでいます。
しかし、現在の住まいでは教育が不十分だったり、すでに学校には通っているが違う学校に変えるために移住することも教育移住のひとつです。
教育移住先は大きく分けて4種類の環境
教育移住は、大きく分けて4種類あります。
- 自然が豊かな地方への移住
- 国際的な環境(海外)への移住
- 教育水準が高い地方への移住
- 不登校生徒の環境を変えるための移住
教育移住というと、未就学児を伴った移住というイメージが強いかもしれません。
しかし、不登校の生徒が環境を変えるために移住する、といったケースもあります。
このケースも「子供の教育」を中心とした移住だからです。
【参考:こどもとIT「石川県珠洲市、不登校の子ども・家族を受け入れる教育移住を目指す」】
実は田舎暮らしを教育移住先にするとデメリットだらけ?
田舎暮らしも教育移住先のひとつです。
しかし、地方によっては教育に関するデメリットが多くなることも。
ここでは、田舎を教育移住先に選んだ際のデメリットを3つ解説します。
デメリット1:進学先・学校の選択肢が狭まる
ひとつめのデメリットは「進学先や学校の選択肢が狭まること」です。
地方では現在、小中学校の減少が著しくなっています。
児童が少なくなったために廃校を余儀なくされたり、教員不足のため受け入れる児童が減ったり、様々な要因で小中学校は減っています。
また、高校も私立に通おうとすると自宅から数時間かかったり、一人暮らししてもらう必要があったりと出費が多くなることも。
できれば進学先の選択肢が多い地方を選びたいものです。
デメリット2:家庭学習の選択肢が狭まる
2つ目のデメリットは「家庭学習の選択肢が狭い」という点です。
家庭学習といえば塾や通信教育ですが、地方によっては通信教育のみとなってしまうことが多いです。
また、習い事の選択肢も少なくなります。
スポーツ系は個人で運営していたり、チームがあったりと選択肢がある場合も多いですが、文化系の習い事は難しいかもしれません。
デメリット3:家族と地域コミュニティ問題
最後のデメリットが「家族と地域コミュニティに繋がりが必要」という点です。
田舎暮らしとなると、地域のコミュニティとの繋がりが重要になります。
実際、田舎への移住を考えていてなかなか踏み切れない方の中には「田舎での人間関係に不安を感じる」という声が多く耳に入ります。
しかし、家族が地域のコミュニティに馴染めないと、子どもも同世代の子どもと馴染めなくなってしまう場合も。
移住先のコミュニティにも気をつけなければいけません。
田舎暮らしのデメリットをなくす!教育移住先の選び方
田舎暮らしならではの教育移住のデメリットをなくすには、3つの選び方を意識して移住先を選びましょう。
選び方1:学習環境が充実した地方を選ぶ
まずは学習環境が充実した地方を選びましょう。
近年、移住を推奨する地方では公営塾を運営したり、保育・教育サービスの相談を受け付ける自治体が増えています。
もちろん、各教科の学習だけではなく、英会話やパソコンなどの体験学習や、ひとり親家庭向けの学習支援を行っている自治体もあります。
こういった支援サービスを行っている自治体を移住先候補に入れましょう。
選び方2:中学以降の進学先選択肢を与える
学習支援が行われているとはいえ、進路選択肢の豊富さは重要です。
最低限、同市内に小中高まで揃っている環境が良いでしょう。
例えば地方は都会と違い、中高一貫教育を行なう学校は少ないです。
ただし、実は各都道府県に公立の中高一貫校があるということは知られていません。
小学校入学前であっても、付近にどんな中学校・高校があるか確認しましょう。
私立高校・公立高校が選択肢にあることで、子どもの選択肢を狭めずに済みます。
選び方3:子育て支援が充実した自治体を選ぶ
子育て支援は学習支援だけではありません。
近年、地方自治体では子育て世帯向けの支援制度の拡充が進められています。
下記はその一例です。
- 格安ヘルパーの提供
- 幼児教育・保育の利用料無料
- 公立小中学校の給食費無償化
- 高校生までの子どもの医療費無料
- 移住者向けの奨励金や家賃補助、リフォーム費用助成
これらの子育て支援は、自治体によって違います。
学習支援・進学先・支援制度の充実度が移住先選びの決め手となるでしょう。
まとめ
田舎暮らしをしたいと考える方の中には「子どもの教育のために移住したい」という理由が非常に多いです。
しかし、移住先を考える際は移住先の自治体が子育て支援をどれほど行っているか、子育て世帯を歓迎しているかを確認しましょう。
特に見ておきたいのは以下の3項目です。
- 自治体内での学習支援制度
- 周囲の中学校・高校が充実している
- 子育て世帯向けの助成金や教育費支援制度
教育移住には、長期的なスパンでの考え方が必要です。
子どもの将来を考えて移住するのであれば、将来の選択肢や教育費のことも含めて移住先を選びましょう。