都会を離れて田舎暮らしを始めたい」と思い、地方への移住を考える方が増えてきています。
そこで色々調べると「田舎暮らしは生活費が減る」というメリットを耳にする方も多いのではないでしょうか?
しかし、実は田舎暮らしと都会ぐらしでは生活費があまり変わりません。
田舎暮らしなら節約できることが多いというイメージがあるのに、何故でしょうか?
そこで今回は、田舎暮らしと都会暮らしの生活費を比べてみました。
どうして生活費があまり変わらないのか、田舎暮らしのどこにお金がかかるのかについて検証します。
都会暮らしと田舎暮らしの生活費は変わらない?都会と田舎の違い
都会暮らしと田舎暮らしの生活費は、実はさほど変わりません。
その理由について、都会と田舎の生活費を比較して検証します。
二人以上の世帯での家計調査全国平均は1世帯約32万円
居住地圏 | 家計支出平均(月) |
大都市圏 | 301,481円 |
地方 | 281,145円 |
中央値 | 328,114円 |
総務省統計局では、世帯ごとの家計支出を四半期ごとに調査しています。
2022年度のデータを見てみると、都市部と地方の二人世帯の生活費比較では以下のような結果になりました。
大都市圏と地方の差は、約2万円しかありません。
極端な違いはないように見えます。
田舎と都会では生活費に違いがない?
田舎なら節約できると思いきや、さほど節約できないことがわかりました。
しかし、実際には「大都市だからこの支出になった」という理由があります。
- 賃金が高い
- 安い店を選べる環境
- 車が必要ない場所が多い
つまり、収入が多く・価格競争している店が多く・車を持たないからこそ、大都市圏の収支が抑えられているのではないか?と考えられるのです。
【参考:e-stat「家計調査 家計収支編 二人以上の世帯 001」】
田舎暮らしの生活費がなかなか節約できない理由は3つ
ここでは、田舎暮らしの生活費がなかなか節約できない理由を3つに分けて解説します。
理由1:車が必要
一番大きな理由は「車の維持費」です。
車がないと仕事にも行けないという地方は多いでしょう。
車の所持には、保険費用や車検費用、税金などの維持費がかかります。
普通自動車を例に、車の年間維持費内訳をみてみましょう。
項目 | 金額 |
自動車税 | 36,000円 |
車検+メンテナンス代 | 約40,000円(2年に1回) |
自動車重量税 | 12,300円 |
印紙代 | 900円 |
自賠責保険料 | 約5,000円~ |
任意保険料 | 約10,000円~ |
燃料費 | 約90,000円(燃費20km/l想定) |
月の出費に直すと約16,000円です。
これに突発的な出費と駐車場代・洗車代もあるため、実際にはそれ以上に膨れ上がります。
しかし、都市部の場合は車が必要ないことも多いため、その分支出が減ることになるのです。
理由2:光熱費問題
地方にもよりますが、インフラを担う会社を選べず節約できない場合があります。
特にガスは都市ガスではなくプロパンガスになることが多いようです。
項目 | 金額 |
都市ガス(10.9㎥※) | 約2,606円 |
プロパンガス(5㎥※) | 約4,667円 |
※都市ガスとプロパンガスの使用量を正確に比較した場合の使用量
都市ガスとプロパンガスでは、同じ熱量に換算してもこれほどの違いがあります。
また、冬場の気温が下がる地方では暖房の使用量が都市部に比べて多くなります。
そのため、光熱費が都市部よりもかさみやすいのです。
理由3:賃金が安い
地方は都市部に比べて賃金が安い傾向にあります。
最低賃金も東京都が985円に対して23道府県が800円と、時給換算で185円も開きがあります。
収入が下がれば、その分相対的に支出の割合が増えてしまいます。
生活費を節約しても、さほど節約にならないかもしれません。
ただし、仕事をリモートワークにすれば都市部の給料のまま地方移住できます。
転職するかどうかは、田舎暮らしの生活費を考える際に重要な点となるでしょう。
田舎暮らしの生活費を抑えるなら…移住前にチェックしたい3項目
では、田舎暮らしの生活費を少しでも抑えるためにはどうしたらよいのでしょうか?ここでは、移住前にチェックしたい3項目について解説します。
チェック1:水道・ガスなどのインフラ状況をチェック
まずチェックしたいのがインフラ状況です。
特にガス会社の料金については確認したいですね。
また集合住宅の場合、ガス会社は居住者の意思で変えられません。
あらかじめガスの種類について不動産屋にチェックすると良いでしょう。
水道代は地域によって差があります。
湧き水を引き込むような家なら安く済むかもしれません。
電力会社もインターネット回線と併用すると安くなるプランがあります。
対応地域を調べておきましょう。
チェック2:地域が移住促進に前向き=助成が出る
移住先の地域が移住促進に前向きな場合、助成金が出ることがあります。
以下はその一例です。
- 東京都23区に在住→地方創生移住支援事業を実施している都道府県への転出で100万円以内の助成金
- 移住者に対する住宅ローン金利引下げ
- 移住者採用活動助成金
まずは移住先の自治体が、移住に対して前向きかどうかも調べてみましょう。
住宅も修繕済みの住宅を紹介してもらえる可能性があります。
チェック3:移住先の仕事を考える
収入を下げたくないのであれば、今の仕事をリモートで続けるのがベストです。
ただし、リモートの場合はネット環境も重要になります。
回線工事は早めに検討しておくようにしましょう。
もし移住先で転職する場合は、移住者採用を積極的に行っている企業を探しましょう。
住宅助成金が出る場合もあり、生活費を抑えられるかもしれません。
まとめ
田舎暮らしの生活費は、都会暮らしとは違った部分で支出が増えてしまいます。
しかし、田舎ならではの支出に気をつければ、節約できるかもしれません。
まずは移住先のインフラ状況について確認しましょう。
ガス・水道・電気代は、後から節約しようと思ってもできないものです。
また、移住先の自治体から出る助成金で移住にかかる費用を抑えられる可能性があります。
さらに、移住者採用を行っている企業に転職すれば住居にかかる費用が抑えられるかもしれません。
移住前の情報収集は、積極的に行なうようにしましょう。