古民家をステキにリノベーションして田舎暮らしを楽しみたい、あるいはオシャレなカフェを開きたいという人が増えています。都会から離れて、自然豊かな環境での生活は誰でも憧れますよね。
しかし、古民家をリノベーションするさいには注意点を知っておかなくてはいけません。古くから建っている古民家で安全に、そして快適に過ごすためには、工事が必要な箇所があるからです。また、高くなりがちな古民家のリノベーションで活用できる補助金や減税制度についてもご紹介したいと思います。
古民家のリノベーションで忘れてはいけない3つの注意点
古民家をリノベーションするさいには次のような注意点があることを忘れてはいけませんよ。古民家は建物として、思いのほか老朽化が進んでいることがあるからです。
工期が長くなりがち
古民家は伝統的な工法で建てられていて、構造的に梁や柱が重要な役割をもっています。リノベーションをする際、これらを残すのか、それとも取り除くのか、事前に現地調査がおこなわれます。そもそも設計図が残っていることは稀なので、すべて実測しながら記録をとらなくてはいけません。
また、調査したところ基礎部分の劣化が見つかることも多いです。そのため、新築や中古住宅のリノベーションよりも工期が長くなってしまいがちです。
新築なみに費用がかかることもある
新築を購入するよりも、古民家など中古物件を選んでリノベーションをするほうが安いと思っている人も多いです。しかし、古民家の老朽化が進んでいると、大規模なリノベーションが必要になります。
劣化した基礎部分の補修やの補強などの工事は、新築を建てるよりも費用がかかってしまうことも少なくありません。現地調査ではどんな工事が必要になるのか、見積もりをしっかり確認しましょう。
リノベーションするべきポイントを知っておく
古民家をリノベーションするさい、次のポイントを知っておくと、どんな工事が必要なのか理解できますよ。
- 伝統工法ではなく在来工法の古民家は地震に弱い
- 隙間風が入ってきて冬はとにかく寒い
- 屋根や外壁から雨漏りするトラブルが多い
- キッチンやトイレ、お風呂の使い勝手が悪い
【古民家のリノベーション】構造部分の注意点と工事内容
古民家に安心して快適に住まうためには、上記のポイントを押さえたリノベーションが必要です。それぞれどんな工事になるのか、注意点をあわせてみてみましょう。
耐震補強の工事は必ず必要
現在存在している古民家の多くは在来工法で建てられているので、耐震補強の工事が必要です。コンクリート基礎でしっかり固めて、地震に対抗できるようにします。1950年の建築基準法から1981年の新耐震基準までに建てられた木造住宅が該当します。
いっぽう、それ以前に建てられた木造住宅は、伝統工法でつくられています。足元を揺らすことで地震の力を逃す「免震」構造をとりますが、現存する住宅は少ないといわれています。
寒さ対策には断熱工事も効果的
床や壁、天井には断熱材を入れる工事をおこないます。断熱材は、室内と室外の熱移動を遮断するため、冷たい外気の侵入を防ぐことができます。また、暑い夏も涼しく過ごせますよ。
また、窓も複層ガラスに取り替えることも有効です。しかし、昔ながらの窓ガラスは希少価値が高いものもあります。二重窓にするだけでも断熱効果が期待できますよ。
屋根や外壁の雨漏りは木造住宅の敵
古民家などの木造住宅にとって、湿気は建物の劣化を早めてしまいます。屋根や外壁から雨漏りしないように注意が必要です。雨漏りは屋根瓦の劣化だけでなく、土台となる漆喰が腐っていたり、外壁との接合部分がずれていたりなど、さまざまな原因から生じます。
その他にも、屋根の下の防水シートが破れていないか、野地板が腐食していないか注意したいところです。トタンや漆喰、土壁など、外壁の素材によって寿命も異なるので要確認です。
水回りの設備の刷新も要検討
古民家の水回り設備は、現代人にとっては生活しにくいかもしれません。快適に住まうためには設備の刷新が必要です。ただし、水回りのリノベーションは、電気工事や配管工事を伴うことがほとんどです。また、排水管の位置によっては、あとから間取りの変更ができないこともあります。
古民家のリノベーションに補助金・減税制度を活用する注意点
どうしても費用が高くなりがちなことは、古民家をリノベーションするさいの注意点のひとつです。ですから、補助金や減税制度を積極的に活用するとよいですよ。
住宅リフォームの補助制度って?
令和4年度では、次のような目的のリフォームで条件を満たしている場合には補助金・助成制度があります。
- 長期優良住宅リフォーム推進事業:耐震や省エネなど既存住宅の長寿命化をはかるリフォームに対して補助金が交付されます。1戸につき100万円〜250万円。
- こどもみらい住宅支援事業:断熱や省エネ設備にかかる工事費用の一部を助成。子育て・若者夫婦なら1戸あたり上限45万円で、中古住宅購入と同時にリフォームをおこなう場合は上限60万円が支給されます。
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業:省エネ効果が見込まれる高性能な断熱材や窓ガラスを用いた断熱工事費用の一部を助成。1戸あたり最大で120万円。
この他にも、各自治体ごとに住宅リフォームに関する補助金制度もありますので、一度ご確認くださいね。
住宅リフォームの減税制度は?
また、所得税や固定資産税の減税制度もあります。上記の補助金制度と併用することも可能ですよ。
- 所得税の控除:リフォーム促進税制と住宅ローン減税の2種類があります。耐震、バリアフリー、省エネ、同居対応、長期優良住宅化、または一定の条件を満たした増改築工事が対象です。
- 固定資産税の減額:耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化にかかるリフォーム工事が対象です上記の所得税控除と併用できないものもあります。
【参考:一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォームの支援制度」】
その他補助金の詳細はこちら↓
古民家のリノベーションでこんなことが実現できる?注意点も
ここでは、古民家をリノベーションしてどんな活用ができるのかご紹介します。ただし、ケースによっては減税の対象にならない、あるいは特別な手続きが必要なこともあります。
ライフスタイルに合わせた間取りの変更
古民家の広々とした空間をうまく活用して、家族のライフスタイルに合わせて間取りの変更ができます。しかし、スケルトンリフォームなど、一度骨組みだけにしておこなう大規模な工事をする場合は、住宅としての価値が高くなるので、固定資産税自体はかえって上がってしまうことがあります。
古民家をリフォームするさいは工事の内容も注意点のひとつです。減税対象のリフォームをうまく取り入れましょう。
オシャレなカフェやレストランを開業
古民家のどっしりとした大黒柱や梁を残したまま、オシャレなカフェやレストランを開業するのもステキですよね。小規模の店舗であれば、飲食店営業許可と食品衛生責任者の資格があればオープンできます。また、登記の変更も必要です。
ただし、これまで住宅用地として適用されていた固定資産税の減税措置がなくなります。また、完全に店舗にするのか、住居兼店舗にするのかでも、減額の程度が異なります。
宿泊施設や貸し別荘にする
自然豊かな古民家で、休日をゆっくり過ごせるような宿泊施設や貸し別荘として活用することもできます。ただし、登記変更の手続きが必要なことや、上記のように固定資産税の減税制度が利用できなくなる可能性が高いです。
また、民泊を始めるには、自治体へ旅館業法等の許可を申請しなくてはいけません。その際、使用する設備や床面積などの情報が必要で、それをもとに母屋の利用実態についての調査がおこなわれます。
まとめ
古民家をリノベーションするさいの注意点は、工期が長くなりがちで、思った以上に費用がかかってしまうことが少なくないことです。しかし、見えない部分の経年劣化が進んでいることも多いので、安心して生活するためにも、リノベーションするべき箇所はしっかり押さえておきましょう。
古民家のリノベーションでは、補助金や減税制度を積極的に活用したいところです。省エネや耐震、バリアフリー、断熱工事などが対象になっています。また、古民家の使用用途によっては減税の対象外になること、特別な手続きや申請が必要なこともありますよ。